Dog. – 【極彩色】

私には飼い犬がいる。

穏やかな性格で私によく懐いている。

私は忙しい事が多く、家に居る事は殆どない。
だから到底犬を飼う事には向いていない生活をしているという自覚がある。

この子を飼うと決めた理由は、この子は私の邪魔をせずお利口で居られるからだった。

私が移動すると必ずついてくる。
ついていける場所なら何処へでも。

読書をしていると、側へ寄ってきて私の膝に頭を乗せ邪魔をしない様に大人しくしている。
煙草を吸う為に窓際へ行くと、足元に大人しく座っている。

側へ行ったからといって構って貰える訳では決してない。

それも分かっていて私の行く所へついて回る。

私が忙しいのを知っているのか、構ってやらずとも機嫌を悪くする事もなく、世話を催促する事もない。

朝は私が起きれば、身を起こす。
夜は私が眠るまで待っている。

足音で分かるのか、帰ると必ず玄関で待っている。
一目見ただけで嬉しくて仕方ないと分かる。

出かける時も勿論、必ず見送りに玄関まで出てくる。
少し寂しそうに私の足元にすり寄りながら。

深夜、窓際に座り外の景色を眺めながら煙草に火をつける。
白い煙をゆっくりと吐き出しながら、そっと膝の上の頭に手をやる。

温かい額の温度を感じながら撫でてやる。

「この時間が一番幸せ」

彼はそう言うと満足そうに目を閉じた。

私はその言葉に満足し再び外の景色へと目をやった。

Mistress 沙爛-Saran-

大阪難波M専科【Ishtar-イシュタル-】
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